外資系金融マンから、湘南の暮らし・ライフスタイルを提案する起業家に!

2017年09月02日

(株)エンジョイワークス代表 福田和則

 

鎌倉駅から8分ほど歩くと、歴史を感じさせる民家や商店がありながらも、若者に人気のカフェやショップも建ち並ぶ、由比ガ浜エリアにたどり着きます。鎌倉が持つ新・旧の良さが絶妙に混在するこの由比ガ浜にオフィスを構えるのが、株式会社エンジョイワークスです。同社は、湘南エリアに特化した不動産仲介業を中心にリノベーションや新築住宅の設計など暮らしに関わる様々な事業を展開しつつ、カフェを併設する複合スペースや、シェアオフィスの運営、各種イベントの開催などにもビジネスの輪を広げており、着実に地域での存在感を増している企業と言えるでしょう。

そんな同社を牽引しているのが代表取締役の福田和則さん。兵庫県出身だという福田さんは、どのような経緯で湘南にたどり着き、事業をはじめられたのでしょうか。創業のストーリーや、事業ビジョン、湘南への想いなどを伺いました。

 

元外資系金融機関のサラリーマン。子育てを視野に葉山へ移住。

 

大学を卒業してからは、東京の外資系金融機関で働いていました。サラリーマン生活は約 10年。信託銀行、証券会社、銀行と転職はしましたが、一貫して金融の道を歩んでいます。もともといつかは自分で事業を興したいと考えていたので、金融機関を選んだのも、幅広くお金のことを知りたいと思ったからなんです。今の事業も、その当時様々な角度から不動産と関わっていたことがきっかけになっています。 

  

一番印象に残っているのは、富裕層のお客様を相手にする「プライベートバンキング」という仕事。必然的に企業の経営者やスポーツ選手、ミュージシャンなど、各界で成功されている方を担当するのですが、みなさんのご要望はとにかく桁違いでした。「ハワイに別荘が欲しい」「ニューヨークのマンションを買いたい」といったご相談はまだ想定内で、ときには「ヘリコプターを買いたい」、「子どもの海外留学はどこがいい?」なんてご相談も。プライベートにも関わるようなお付き合いをさせていただく中で、起業や経営の心得を学ぶことも多く、独立への志を強くさせてくれた面もありましたし、自分自身はどんな暮らしをしたいんだろうと考えることにも繋がりました。 

  

 

サラリーマン生活の終わりごろにリーマンショックが起きたことも、都心一極集中のあり方に疑問を持った理由の一つです。それまでは、お客様のご要望がどんどん膨らんでいく感覚があって「一体どこまで行くんだろう」と思っていましたが、市場が冷え込むと様子は一変しはじめました。こうした出来事を経験するうちに、「資本主義経済の大きなうねりの一部として生きていくことが、自分にとって幸せなのだろうか」と、思いはじめたんです。 





東京から葉山へ移住されたのも、それがきっかけですか?

 

葉山での暮らしを選んだのは、結婚して子どもが生まれる少し前あたりの時期です。それまでは東京の学芸大学に住んでいたのですが、僕が夜遅くに帰宅していると、塾帰りの子ども達が歩いている様子をいつも見ていました。それが悪い訳ではないのですが、自分の子どもは「塾に行くのが当たり前」という価値観で育てるのではなく、他の選択肢もポジティブに選べるような環境で育てたいと思ったのがきっかけです。ただ、うちの娘は今、夜遅くまで塾に通う生活を選んじゃいましたけどね(笑)。

 

もともと海が好きだったので、湘南にはサーフィンなどで訪れていましたし、友人を介して地域の方とも知り合えていました。湘南は東京に比べて地域でつながりやすい土地柄ですよね。大人同士・子ども同士はもちろん、よその家の子どもにも気さくに親身になってくれるあたたかさがあるなと思って、移住を決め葉山に家を建てました。

 

でも、移住したのはサラリーマン時代のことなんですよ。当時はマーケットが動き出す時間に備えて朝早くに出勤し、夜はお客様とのお付き合いで銀座の街を飲み歩くのが日常でしたから、同僚たちには「なんでわざわざ遠くに引っ越すの?」とあまり理解されませんでした。すでにその頃から、価値観のズレが生じはじめていたのかもしれません。自分や家族がどう生きたいかを考えたときに、東京という選択肢ではなくなってきたのだと思います。





不動産ビジネスの古い慣習を変え、新しい価値観で住まいを選べるようにしたい。

 

 

では、創業当時のお話を聞かせてください。なぜ不動産・建築業をはじめられたのですか。

  

起業したのは 2007年の秋のこと。自分の経験を活かして事業を行おうと考えて、チャンスを感じたのが不動産業です。当時のこの業界は、紙の文化が根強く残っていることを筆頭に、時代の変化に後れを取っていた部分がありました。だからこそ、伸びしろが大きいマーケットだと思ったのが理由の一つです。 

  

また、サラリーマン時代に不動産も扱ってきたからこそ感じていたのですが、価格の妥当性など消費者に不透明なことが多いなと思っていました。例えば、衣類や食品は日常的に購買体験を繰り返すものなので、消費者自身にその商品の価値を見極める基準が身についています。しかし土地や建物の場合、よっぽどの資産家でない限り買ったり売ったりする経験は一生のうちに何度も訪れるものではないですよね。そのため、「この立地と広さでこの値段はお買い得ですよ」と不動産業者の言うことにどこまで納得できているのか、疑問だったんです。 

  

だからこそ、僕たちが立ち上げた不動産情報サイト「 ENJOY STYLES 」では、物件を立地や価格、広さといったスペックで紹介するだけではなく、まるで今実際にその場を訪れているかのように住み心地や使い心地を紹介していくのが大きな特徴。メリットだけでなく、デメリットも包み隠さず伝え、周辺環境やコミュニティの雰囲気も含めてどんなライススタイルを送れるのかがイメージできるようにしています。

 





 

私もサイトを拝見しましたが、物件の個性を率直かつ軽快に伝えているのが心地よかったです!湘南には、ライフスタイルにこだわりが強い人が多いですから、当初から話題になったのではないですか?

  

実は、はじめは月に 1件の問い合わせがあるかどうかという程度でした。というのも、創業当初にオフィスを構えたのは東京の世田谷。いつかは湘南を本拠地にして、この地域に特化したいと考えていましたが、僕が築いてきた人脈を活かして商売の足固めをするには、都心の物件や軽井沢など東京近郊の物件も広く扱わざるを得ず、まずは東京でスタートしたんです。多摩川を越えてすぐの玉堤という場所で、限りなく湘南に近い、ギリギリ東京で起業したという感覚ですね(笑)。その時も、湘南の物件紹介をすることはできました。しかし、売りたいというお客様に任せてもらえるような信頼関係を築くのには、場所としてあまり適していなかったのだと思います。 

  

 

手応えを感じたのは、 2011年に満を持して由比ガ浜に移転してからですね。地域のみなさんとの繋がりが強くなり、僕たちがこの事業にかける想いやみなさんに届けたい価値が少しずつ伝わったことで、次第に売り物件の依頼が増えてきました。すると、「 ENJOY STYLES 」で紹介する物件数がこれまでよりも格段に増え、それに比例して買いたいというお問合せも増えていったんですよ。 






地域のみなさんやお客様と一緒にビジネスをつくっていく「仕掛け」でありたい。

 

現在は、不動産仲介や建築設計にとどまらず、様々な取り組みを行われていますよね。こうしたビジネスの広がりは、なぜ起きているのでしょうか。

  

これは、移転後に感じたもう一つの手応えが関連しています。葉山の空き地を使って、「葉山芸術祭」の開催期間中に「小屋ヴィレッジ」というプロジェクトを行ったことがありました。実は、その土地は当社が売却のお手伝いをしていたものの、約 15 000万円と高額かつ、海のそばという立地に津波を心配される人もいて、なかなか買い手がつかなかったんです。 

  

このまま遊ばせておくのも申し訳なく、 一人でも多くの方にこの土地があることを知ってもらえたらとプロモーションのつもりで地域の方々に声をかけ、プロジェクトがスタート。敷地内にいろんな小屋を建ててイベントを開きませんかと募集したところ、アーティストやクリエイター、有志ボランティアのみなさんが個性豊かな小屋を建ててくださり、さらには各小屋の中で小商いをしたい人たちが集まってくれて、作品や商品を販売したりワークショップを開いたりと、みんなでプロジェクトを盛り上げてくださいました。近所のおばあちゃんが毎日のように遊びに来られるなど、地域のみなさんも歓迎してくださり、僕たちエンジョイワークスらしさとは、こういうことなんだと実感しましたね。 

  

 

「エンジョイワークス」という社名は、自分たちが楽しく働くということだけでなく、「 works」=「仕掛け」を意味します。お客様、地域の方など、関係するすべての人に楽しい仕掛けを用意する会社でありたいと名付けた、創業の想いが一つ形になったことで、今進んでいる様々な取り組みにもアクセルを踏めた気がします。 






個性豊かな人たちが住む湘南だからこそ、実現できたことかもしれませんね。

 

そうかもしれません。仕事で出会う方だけでなく、ご近所に住む方や娘の学校の親御さん、趣味で通っている柔術道場の生徒さんたちなど、みなさん感度の高い人たちがばかりですね。大手企業で働く人や、クリエイター、ドクター、美容師さんなど、その道のプロフェショナル人である方が多いので、普通はほとんど接点を持てないかもしれませんが、みんな近い価値観を持って湘南に住んでいるので、比較的繋がりやすいんですよ。

 

だからこそ、自分の仕事にだけ向き合うのではなく、少し引いた視点で地域をとらえ、同じ価値観を持つ仲間をみつけてco-work(協業)もしくはco-creation(共創)することを続けていきたいと思っています。そういう意味でいえば、ワークとライフをはっきりと分けるのではなく、どこまでも地続きなのがエンジョイワークスらしい働き方だし、湘南にはそういう価値観の人が多いような気がします。東京で働いていたころはオンオフで一線を引いていたんですけど、今は真逆。休日にうちで家を建ててくださったお客様のお宅に集まってBBQをしたり、お客様だった人がうちに入社してくれたりすることもあります。暮らしや生活を大切にしているのと同時に、仕事にも真剣な人たちが集うコミュニティがあるからこそ、新しい取り組みを行う絆が生まれやすいのだと思います。

 

 

また、僕たちは湘南というエリアの魅力自体がビジネスに大きく影響してきますから、地域に向き合うことは必然なんです。新築住宅やリノベーション物件の建築設計においても、湘南の街並みや景観に関わっているものとしての使命感を忘れてはいけません。お客様の住まう家であることは当然ながら、社会や地域の優良ストックとなることも意識しながら、家づくりを行っていますね。 



 

Profile  

株式会社エンジョイワークス 代表取締役 

福田 和則さん 

兵庫県西宮市出身。大学卒業後、外資系金融機関にてキャリアを築く。 2006年に東京から葉山へ移住。 2007年には独立起業し、株式会社エンジョイワークスを設立。不動産仲介業をスタートする。当初は都内にオフィスを構えるも、 2011年より鎌倉市由比ガ浜へ移転。現在は仲介業に加え、エンジョイワークス一級建築士事務所として住宅や事業用施設の設計デザインを手掛けるほか、複合スペース「 HOUSE  YUIGAHAMA」の運営や、湘南地域の各種イベント企画・運営などコミュニティづくりにも尽力している。 

  

http://enjoystyles.jp/ 

https://enjoyworksdesign.jp/ 

  

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